■ 使用前の注意
■ コンタクト装用による目の病気
■ 目の表面の構造
目の病気を詳しく知る前に、目の構造についてある程度の知識を持っておきましょう。
目の表面の黒目の部分は角膜と呼ばれ、角膜は上皮、実質、内皮の三層で構成されています。
上皮は目の1番外側の膜で、外からの刺激で頻繁に傷つくため、再生能力が備わっています。
実質は上皮と内皮の間にあるコラーゲン繊維で、光をスムーズの通すために
規則正しく配列しています。
内皮は角膜の1番内側の組織で、数千の細胞で構成されています。
内皮細胞には再生能力がないため、年と共に減少していきます。
三層とも中に血管が巡っていないために、酸素は外から直接供給します。
■ 角膜上皮の病気
・ 点状表層角膜症
角膜の上皮の部分がはがれる病気です。原因はコンタクト装用による酸素不足で、
主に目の痛み異物感といった症状が現れます。上皮細胞は再生するので、
1〜2週間ほどで治りますが、そういった症状が現れた場合コンタクトの装用は控え、
眼科へ診察に行きましょう。
・ 角膜潰瘍
角膜上皮がはがれ、その部分から細菌が入り込み、炎症を起こす病気です。
原因は上皮がはがれた状態で汚れたコンタクトを装用したりすると起こります。
目を開けていられないほどの痛みが伴い、涙が多く出ます。
このような症状が出たらコンタクト装用をやめ、直ちに病院へ行きましょう。
■ 角膜内皮の病気(角膜内皮障害)
角膜内皮細胞は冒頭で述べたとおり、再生能力がありません。そして血管が巡っていないので
酸素は外から直接供給します。コンタクトを長時間、もしくは眠っているときもつけていると、
酸素の供給率が低下し、細胞が酸欠になり、やがては死んでしまいます。
内皮細胞は数千個あり、1つの細胞が死んでも他の細胞がカバーしますが、
やがてはそれが限界に達し、死んだ細胞のすきまから水が侵入します。
そうなると視力は急激に低下し、失明に至ります。
この病気の最も恐ろしいところは、自覚症状がないところです。内皮は上皮と違い、
神経すら通っていないので、細胞が死んでも何も感じないのです。
今はレンズケアをなまけていても問題ないかも知れませんが、10年、20年たっても
なまけていたら、突然失明ということにもなりかねません。
そうならないためにも、毎日レンズの洗浄・消毒をしっかりとして、
レンズの装用時間を守りましょう。また、連日装用(眠っているときもつけるレンズ)以外は
絶対に寝るときにはずしましょう。
■ その他の病気
・ 角膜血管新生
角膜の酸素欠乏が長時間続くと、血管が角膜の外から内部へ侵入してきます。
これが角膜血管新生です。自覚症状は特になく、病気が初期の場合
装用をやめれば元に戻りますが、病気がすすむと血管が角膜に入り、
そのまま残ってしまうこともあります。
・ ドライアイ
涙液の分泌には2通りあり1つはまばたきなどで出る通常の涙液で、
もう1つは外からの刺激で出る反射性の涙液です。
この涙液の分泌量が減るとドライアイになります。
統計によると、コンタクトをつける約20%の人がドライアイになっているそうです。
原因は様々で、環境的要因(乾燥した場所、ほこりの多い場所、風の強い場所などで過ごす)、
パソコン(している間はまばたきが通常の4分の1に減少)、
精神的要因(集中しているとき、緊張しているとき、ストレス)、加齢などです。
治療法としては、最も簡単にできることは意識的にまばたきの回数を増やすことです。
まばたきをすることで涙が分泌され、症状が改善されます。
また、フレームに精製水を注入することによって乾燥を防ぐドライアイ専用の眼鏡もあります。
症状が重いときには市販されていない特殊な点眼液(ヒアレイン点眼)を使います。
この点眼液はヒアルロン酸を含み、粘性が強いため、1回の点眼で約2時間ほど持ちます。
(通常の点眼液は10分程度なのでそのたびにさす必要があります。)
またあまり症状がひどい場合は、手術によって涙の流れる穴に栓をして、
涙を目にためるという方法もあります。
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